うみブログ

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【碇シンジ】中二からの卒業『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』を見た感想

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「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」劇場用ディスプレイ

写真は「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」より、劇場用ディスプレイ

 

遂に、「エヴァンゲリオン」 の歴史に、幕が下ろされました。

う~ん、長かった・・。

 

前作「Q」では中学生だった息子も、今や成人ですからね。

アニメ版の時なんて、産まれてもいないのだから。

 

既に巷ではネタバレや考察であふれかえっていますが、一応ネタバレに気にしつつ、感想を書き連ねてみたいと思います。

 

私は考察できるほど実はエヴァファンでもなく、寝室にカヲル君のポスターが貼ってある位で、シリーズ通してガチで見ていたわけでもないんですよね。

 

そんな感じでも面白かったし、謎だった部分はほぼ回収され、長年のモヤモヤにも決着がつきましたので、見にいこうか悩んでいる人は、是非行ってみて下さい。

 

私にとっては、全エヴァンゲリオンとチルドレンににさよならできる、とっても腑に落ちる内容でした。

今回かなりメッセージ性が強いなと思いましたが、皆さんは何を受け取りましたか?

 

エヴァンゲリオン渚カヲルのポスター

エヴァンゲリオン渚カヲルのポスター

未だに寝室を飾る渚カヲルのポスター。

確かこれ、パチスロ雑誌の付録でした。

(カヲル君は登場しただけで大当たり確定となる激熱キャラなのだ!)

 

本棚に入りきらないマンガが積みあがってて大変な事になってるけど、でも、今なら「マリの部屋を意識してる」とかで通りそう・・。

 

 

こんな感じで、途中説明じみたセリフが目立ったのが気になるくらいで2時間30分。

メリハリや見せ場もきっちりあって、ストーリー的な部分も補完されている、完成度の高い作品と私は受けとりましたが、26年越しで続いたシリーズの場合、あのラストは結構賛否両論だと思うんですよね。

 

でも、今のところは好意的な意見が目立ちます。

 

そう、みんな、自分の人生に決着をつけて、幸せになりたかったんだよね。

 

素直に面白かった「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」はシンジの卒業物語

 

 今週のお題「〇〇からの卒業」

 

今週のお題は「〇〇からの卒業」なんですね。

 

卒業という言葉にかこつけているわけじゃないけれど、「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」は、主人公の碇シンジ君の卒業物語でもあります。

 

内向的自意識過剰な万年中二病を患っていて、常に視聴者とアスカをイライラさせてくれたシンジ君でしたが、彼は遂にリーダーシップと決断力を持つ大人になりました。

 

ここで私がいうリーダーシップとは、組織をけん引する能力のことではなく、自分自身を統率する能力という意味で、大きなくくりでいうと、自分の事をちゃんと決められる大人って意味です。

 

シンジは甘えた子供時代と決別し、結果、一番こじらせていたのは碇ゲンドウという種明かし。

 

シンジ君のあの、独りよがりですぐいじけちゃう所とか、何かにつけて自問自答しちゃう所とか、生い立ちや環境も大いに関係あるけれど、思春期である14歳の成長過程としては一般的です。

ただ、いつ大人になるか。

 

護られて生きている現代なら20代だって通用するかもしれないけれど、戦時中や戦国時代なんて、14歳で子供じゃ許されませんからね。

子供でいるなら生きていけないシビアな世界です。

 

この辺、中盤にも大事なメッセージとして、とある人間がとある村で同様の事を語ります。

この辺りでシンジ君は、大人の階段を昇る事になります。

 

あまり内容に触れるのもよくないと思うので、ここはこれ位にしますが、「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」は、「終劇」というラストに相応しく、ファンサービスの要素も多い映画に仕上がっています。

 

テレビ版から追っていた人には嬉しい演出がいっぱいで、とにかく、誰もが感じる「エヴァの大好きな部分」が詰まっています。

もちろん、醍醐味である戦闘シーンなんかもカッコいいです。

 

終盤、キャラを一人ずつ救済してから退場させる部分はきっちりとエンドマークのサインがあり、少しづつですが、『ラストが近いんだな』と、観客に予感させながらの進行。

 

そして・・、ラスト。

初号機には、そもそも誰が乗っていたのか・・。

そんな事も思い出して、胸が熱くなる一瞬。

 

あそこのシーンはよかったよ、すごくよかったよ。

 

どちらかというと、旧劇場版よりテレビアニメ版のラストに近い感じで、今までエヴァに感じていた『監督だけの自己満足作品』というイメージは薄れ、かなり最終回を意識して、エンターテイメント寄りに仕上がっているなという印象を受ける今作品。

 

意地悪を言えば一般ウケを意識しているとも言えますが、考えているだけじゃ、進まないんだよ人生は。

 

元々、アニメ版のラストは監督の意思ではないと言われていましたが(で、旧劇版であのラストとなる)結局、大団円に近いラストにすることで、多くの人間を救済し、最終回に相応しい作品に仕上がったのだと思います。

 

あの監督も大人になったって事でしょうね。

 

テレビ版の最終回に、「こんな未来もあったんだ」とシンジが気づく場面がありますが、この時、『物事をひとつの方向から見ないで、多方向から見るべき』と周囲の人間からも諭されます。

 

このメッセージを強調しているのも今作。

前作劇場版「Q」で、さくらにあんなにきつく言われた一言「もう、エヴァに乗らんといてください。」。

 

この言葉の真の意味も、見方を変えるとじつはさくらが違う意味でシンジに対して言っていたのだという事が分かります。

 

第3村のエピソードはとても重要だったけど、どうしても感じてしまう古き良き昭和の表現

 

「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」は、今までのシリーズより比較的親切に出来ているのですが、しっかりと今までの謎というか、訳が分からない部分も残されています。

 

まぁ、難しいので私には分からないのですが、聖書的考察の要素もしっかりと残っています。

ゲンドウ一人の感情で計画された人類補完計画は分かるけど、結局ゼーレのあの人たちって何だったんだ?
 

しかし私が今回感じたのは、第3村の演出の違和感。

 

ストーリー序盤、シンジたちはとある村にお世話になりますが、ここが、まるで戦後復興中なんですよね。

この場面では、生死不明だった人達の安否がわかり、レイが感情を習得していく、ストーリー上とても大切な部分。

 

14年の空白の間、他の人達は生きていくのに必死で成長していたのに、シンジは取り残されて子供のまま。

だけど、ここでシンジはやっと一人で立ちあがる事ができるようになります。

 

この村の名は「第3村」。

サードインパクトやニアサードインパクトがあったのに、実は意外と色々なものが地球には残っていたんですが、その村で使用しているものは、まるで昭和20年。

 

あれ?

廃墟となる前の時代に、そんなもの使っていた世界だっけ??と、違和感を覚えます。

 

ここはアスカが守ると言っている大事な場所なのですが、なんでわざわざあんな気味の悪い昭和感を出しているのだろう。

 

この村・・。

 

まるで、古き良き日本を表現しているプロパガンダで、「やさしさと夢の水源」であり、「あなたが(かつて)過ごした大地」。

「みんな貧しかったけど幸せだった」みたいで、ちょっと広告めいている。

 

生きるためには皆必死で、人とのコミュニケーションを避けては通れない。

「殻に閉じこもっているのでは生きられない、大人になれよ」というメッセージがあるのはいいとして、何故、ご丁寧に朝ドラよろしく昭和のお父さんとかいるのかな??

 

昭和を憧れや幻想にでもするつもりなのか。

科学の進化と神への反逆により、人類自らが集団自殺しようという世界へのアンチテーゼ的なものを感じますが、これはもしかして、文明を捨てよという、残酷な天使のテーゼなのか。

 

・・正直な所、『鬼滅の刃』の優しい世界があれだけ流行ったので、古き良き家族という繋がりや絆という演出を入れ、ジブリや新海の世界を意識して、今風にしたかったのかとさえ思った。

 

さて、今回のシン・エヴァの、タイトルの最後についている「:||」。

 

これは、「何も断りが無ければ一回だけ戻って反復する」という、楽譜のリピートマークらしいのですが、それを知ったうえで映画を見ると、ラストはとっても腑に落ちると思います。

 

で、それとは別に、この村の場面。

とても懐かしい雰囲気で、それでいて作り物感がすごいんですが、この部分も人の営みとしてのリピートマークであり、人はあるべきところへ還れというプロパガンダを感じました。

 

・・・きもちわるい・・。

 

「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」の「シン」は、「新」なのか「真」なのか、はたまた「神」なのか・・。

  

そんな訳で、「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」は、エヴァを見てきた私にとって、初めて腑に落ちる作品となったわけですが、マリの存在にはビックリでした。

 

登場回数のわりに謎めいていたマリ。

既に色々と考察や情報も出ていますが、その人となりは漫画版では結構詳細に描かれているようです。

(ネット情報)

 

今回の「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」の「シン」は、「新」なのか「真」なのか、はたまた「神」なのか・・。

ラストは「ネオン・ジェネシス」と言うセリフが入るし、ベースとなっているのは新約聖書。

 

冬月は、最後にマリの事を「イスカリオテのマリア」と呼びます。

イスカリオテは、ご存知、イエスキリストを裏切る使徒のひとり、「イスカリオテのユダ」の事。

 

マリアとは、マグダラのマリアの事だとも言われていますが、マグダラのマリアも、キリストの使徒のひとり。

 

どちらをとっても、マリは使徒であり、主従関係にあるものを裏切ったという事です。

 

そして結局、アスカでは、イヴにはなれなかったという事か。

 

「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」は、内容自体はそんなに難しくはないけれど、ベースになっている世界があるので、知っていた方が楽しめる部分もあります。

ましてや映画は、そう何回も見る機会がありません。

ネタバレを気にしないならネットやYouTubeなどで情報を得てから行くと、更に楽しめると思いますよ。

それではまた。

 

あ~、あとね、ゲンドウ、ラストの独白長すぎだわ・・。