こんにちは、かたせうみです。
公開3週目に突入した映画『ファーストマン』を観てきたので、感想等を書いてみたいと思います。
ファーストマンは、骨太な映画だった・・
『ファーストマン』は、人類で初めて月面に降り立った、アームストロングの伝記が原作となっています。
監督はデイミアン・チャゼル。
脚本はジョッシュ・シンガー。
監督のデイミアン・チャゼルは、映画『ラ・ラ・ランド』でもメガホンをとっており、主演のライアン・ゴズリングとはラ・ラ・ランドに続いて2作目です。
でも、本作はなかなか骨太なヒューマンドラマで、メジャー感よりはマイナー感が強い作品です。
『ラ・ラ・ランド』の監督だからといって、歌やダンスはなく、キラキラとしたオープニングでもなく、切ないラストでもありませんでした。
映画見るまで知らなかったから、そういう期待もしていなかったからいいんだけど。
本当に、あれで月へ行くのか・・・・
ファーストマンは、1961年の記録から始まります。
映画はドキュメンタリー調のようですが、ドキュメンタリーにつきものの解説やナレーターはなく、登場人物たちが心情を吐露したり、激しい感情をぶつけるシーンもほとんどなく、行間を読むような抑えた演出で進んでいきます。
映像の質感もザラりとしていて、本当に当時の映像を「映像の世紀」かなんかで見ているような感覚に陥ります。
そして、1960年代初頭の宇宙開発の技術。
あ、私は全然まだ生まれていません。
最近のSF映画の影響で、近未来系CG、スーパーハイテクノロジーな設備、美しい映像や演出になれていた私には、超アナログで原始的なコックピットや飛行訓練は、思わずゾォ~っと身の毛もよだつようなものでした。
宇宙関係全く詳しくありませんが、多分、すごく忠実に設備や装備が再現されているのでしょう。
本当に、あれで宇宙に行くつもりなのか・・・・・・。
こわい・・。
あんな狭い空間であんな装備で数日とか、過酷すぎる・・。
気が狂っちゃうでしょう・・。
そして、打ち上げ時のあの衝撃、危険を伴う飛行実験・・。
見ている私も一瞬気分が悪くなりました。
『ゼロ・グラビティ』や、『オデッセイ』も見たけど全然違うし、アルマゲドンやエイリアンとは全く違う。
よくもあんな設備で有人ロケットとか神をも畏れぬ所業よ・・。
物語は、比較的淡々と・・・
物語には大きな起伏もなく、一定のペースで淡々と話は進んで行くけれど、緊迫したシーンも多く、犠牲も払うから辛い。
アームストロング夫妻の、「あなた、生きて帰ってきてね。」的なやり取りもない所が、かえって夫婦というのはそういうものなのかなという変なリアリティがある。
もともと、アームストロングは物語始めからある喪失感を抱えていて、少し壁があって自分の考えを声にしない人なのですが、役者さんたちのセリフが少ない分、見てる側が役者の心情を慮るため、なかなか苦しい140分。
アームストロングという人は、ああいう感じの人だったんだろうか・・。
宇宙飛行が成功して、アメリカ万歳みたいな表現もなく、飛行実験が途中で失敗して命からがら帰還すれば、釈明会見とバッシングの嵐。
原作は知らないけれど、ご都合主義を一切感じない所が、ドラマティックでなくなかなか現実的です。
そして、アポロ計画が始まり、1号から11号へ・・。
アポロ11号が月に行った事くらいは、私だって知っています。
時代が進み、1969年になる頃には、ハッと気づくと映像の質感や機器の環境が変わっている。
気のせい??
いいや、違う。
この辺、ちょっと憎いね。
ライアン・ゴズリングの抑えた演技に注目
この映画は、もう50年も昔の話を映画にしているので、服装や髪型も現在とは全く違います。
ライアン・ゴズリングの短髪は、ちょっとおじさん臭かったけど、清潔感があってかっこよかったですよ。
そして、あまり話さない役柄ですが、抑えた演技で心情を表しています。
なんかさ~、人事異動の話でも、感動や驚きもなく「イエッサー」な人なんですよ。
最後の最後まで感情を大きく表さないし、生きて月から帰っても無言のままで数秒。
夫婦の抱擁もないけれど、最後の最後、アームストロングが送った妻へのキスは、ラストにふさわしく素敵でした。
そして、エンドクレジットも淡々と終わります。
ちょっと一度見ただけでは、考察や感想を書き辛い映画なんですが、なかなか緊迫したシーンも多く、疲れるけど人を惹きつける事ができる作品じゃないかなと思います。
こんなにガラガラなんて、ちょっとひどいよ。
という事で、『アクアマン』や『七つの会議』の陰に隠れてそろそろ終了しそうな『ファーストマン』ですが、たまにはこういう映画もいいんじゃないですか?
前半は激しく点滅するシーンがあるから、ちょっと注意してくださいね。
読んでいただき、ありがとうございました。